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重い電子系超伝導体CeCu2Si2の価数揺らぎ超伝導機構検証
【その他】発信:2009/01/16(金) 19:01:26
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−Cu−NQRからのアプローチ
金属イオンの振動(フォノン)を媒介として電子間に働く引力により形成される電子対が超伝導特性を担うとするBCS理論。1979年にSteglichらによって発見されたCeCu2Si2では、BCSの予想に反する実験事実が次々と見出され、電子スピンの揺らぎを引力機構にもつ超伝導が現れていることが明らかになった。
これは反強磁性的に整列をしかけている電子スピンの時間空間的な変動が電子間に引力を及ぼすという超伝導メカニズムで、CeCu2Si2が超伝導研究の新時代を開いた。1984年には、CeCu2Si2に圧力を加えると、超伝導転移温度(TC)が3万気圧以上で2倍以上上昇する現象が発見された。
この現象は新たな超伝導相への移り変わりである可能性が指摘され、高圧力下の諸物理量の精密測定は容易ではなく、未解決の問題として残されてきた。ジュネーブ大の研究グループによる電気抵抗測定と阪大・三宅和正教授による理論的考察から、Ceイオンの価数揺らぎによる新たな超伝導機構が提案され、注目されている。この価数揺らぎとは、Ce3+イオン⇔Ce4+イオンのような価数の時間空間的な変動のことを指し、電子スピンゆらぎと同様、これによって電子間引力が生ずる。
そこで、島根大学総合理工学部の藤原賢二准教授と岡山大学の小林達生教授の研究グループは、ドイツのマックスプランク研究所のSteglich教授の研究グループから良質試料の提供を受け、高圧力下でCu核の核四重極共鳴(NQR)実験を行い、さらに核磁気緩和時間(T1)の高圧力下の精密測定により、スピン揺らぎによる超伝導とは見なしえない、むしろ価数ゆらぎによる超伝導を示唆する超伝導特性が見いだすことに成功した。
NQR法は、観測する核のまわりの電荷状態を敏感に測定できる点に大きな特徴がある。藤原准教授によると「重い電子系超伝導体CeCu2Si2のNQRを未踏の超高圧、極低温下で行うことにより、発見から20年以上謎とされてきた高圧下での超伝導転移温度上昇のメカニズムを探った」としている。この実験では高圧発生装置(インデンターセル)を独自に開発。これにより、高圧下で磁気ゆらぎが抑制される一方で、Ceイオンの価数が4万気圧以上で変化している可能性を示唆する結果が得られた。さらに4・5万気圧を境に電子状態は急激に変化し、同時に超伝導は突然消失した。
藤原准教授の話「今回の成果は、従来とは全く異なる引力機構、すなわちCeイオンの価数ゆらぎによる引力機構を支持するものであり、今後この超伝導機構の理論的解明や新たな超伝導体の発見につながるものと期待されます」
この研究は、日本物理学会が発行する英文誌「Journal of PhysicalSociety of Japan」の2008年12月号に掲載された。(科学、1月1日号1面)
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