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クラゲから採取したムチン、変形性関節症治療へ可能性
【バイオ】発信:2009/03/04(水) 16:19:38
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東海大学医学部外科学系整形外科学の佐藤正人・准教授、持田譲治・教授らは、理化学研究所基幹研究所の丑田公規・ユニットリーダーと共同で、クラゲから採取したムチン型糖タンパク質「クニウムチン」をヒアルロン酸と併用して関節に注入し、変形性関節症の治療に効果があることを動物実験で明らかにした。変形性関節症の新たな治療法につながるものとして注目される。
変形性関節症(OA)は、骨と骨をつなぐ関節液の成分が変化して、関節がこすれ合ったり、ぶつかったりすることで痛みを感じる病気。直接的に死に至る病ではないが、QOLを低下させる。OAの罹患率は、50歳以上の女性で75%、男性でも54%にのぼり、自覚症状のない患者も含めると国内では2400万人以上が罹患しているといわれている。また日本関節症学会の調査では、年間90万人が新たに発症しているという。
そこで近年、関節液の主要成分の一つであるヒアルロン酸を、注射器で関節に直接注入する治療法が行われている。関節液の粘性を維持することで関節を支える力を増強するため、OAの症状の緩和に役立っている。
一方、関節液にはヒアルロン酸だけでなく、ムチン型糖タンパク質が含まれており、それが関節の潤滑性に寄与しており、OAや関節リュウマチではムチン様物質が減少することが知られている。しかし、ムチンは糖鎖構造が複雑であるため、コラーゲンのように天然物から大量に採取したり、ヒアルロン酸のようにバイオテクノロジーで合成することは難しい。
丑田ユニットリーダーらは、エチゼンクラゲやミズクラゲから取り出したクニウムチンの基本的な構造を解明するとともに、高い純度で精製した。それを使って、佐藤准教授らがモデル動物による実験を行った。
実験では、関節のモデル実験動物であるウサギに人工的なOAを作り、A群は生理食塩水、B群はヒアルロン酸のみ、C群はクニウムチンのみ、D群はヒアルロン酸とクニウムチンを10対1の比率で混ぜたものを、第3週目から毎週1回、5週間にわたって関節内へ注射し経過観察した。この方法はOA患者の治療と同じ手法。第10週目に軟骨表面の状態を組織学的に評価した。
その結果、クニウムチン単独ではほとんど効果がなかった。しかし、ヒアルロン酸単独の場合にOAが従来通りに抑制されている状態だったのに対して、ヒアルロン酸とクニウムチンを混ぜたグループでは、実際に軟骨の厚さが保たれ、軟骨の再生が起こっていることが確認された。病理組織学的な軟骨変性度の定量評価では、ヒアルロン酸単独と比べて、エチゼンクラゲのムチンを混ぜたものでは1.6倍、ミズクラゲの場合は2.6倍の改善効果が見られた。
クニウムチンは、他のムチンと違ってシンプルな化合物であるため、免疫やアレルギーを発症するリスクが低く、またその検証も容易であるため、薬剤として実用化されることが期待されている。今回の成果は、ヒアルロン酸+ムチン併用治療という新たな治療法の開発につながるものと期待される。
佐藤准教授は「ミニブタなどの大型動物での実験やムチンの安全性評価などを進め、5年後くらいには臨床研究を実施したい」と話しており、多くのOA患者に福音がもたらされる日もそう遠くはないだろう。(科学、2月13日号4面)
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