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アスベストを溶融無害化、東工大で実証実験に成功
その他】発信:2009/06/05(金) 15:37:09  

  東京工業大学原子炉工学研究所(東工大原子炉研)は、(株)ナベカヰ、愛知産業(株)と共同で、深刻な環境問題となっているアスベストを安全に収集、無害化し、ガラスとして再利用できる『モバイル型アスベスト溶融無害化リサイクルシステム』を開発。5月14日、同大大岡山キャンパス(東京・目黒区)内で、大学構内の研究機材・資材に含まれたアスベストの収集・溶融実証実験に成功した。

  そもそもアスベストとは、地中から産出される繊維状ケイ酸塩鉱物で、地中で溶岩が冷えて固まっていく過程で、結晶が細長く成長して繊維状になったものだ。耐久性や耐熱性、電気絶縁性などの優れ、かつ安価なため建築資材、電気製品等様々な用途に使用されてきた。一方で、アスベストのもつ化学成分ではなく、その形状(非常に細かい針状の構造)が原因で、飛散したアスベストを肺に吸収すると肺ガンや中皮種といった病気を引き起こす確率が高く、現在使用が禁止され、アスベストの廃棄物は特別管理産業廃棄物に指定されている。

  東工大原子炉研では、アスベストがガラスに似た成分であることに注目、溶かせば針状の構造が完全に消失できるという判断のもと、原子力分野の高レベル放射性廃棄物のガラス固化技術の応用として、2年前から共同研究を進めてきたという。アスベストの処理としては、定置型の大型溶融炉による処理が主流であるが、排気口からの排気ガスとともに溶融されなかったアスベストが大気中に飛散してしまうという問題点があった。

  開発したシステムは、アスベストの除去・収集・溶融・ガラス(無害化)・最終処理の工程を備えたもので、まずアスベスト廃材を水に浸すと飛散防止ができ、体積を1/5から1/1に圧縮可能となることから、小型モバイル仕様のバキューム機、沈降タンクへとヘパフィルターで構成されたアスベスト廃材の収集装置、アスベスト廃材の含水量と処理量を制御できる連続運転可能なスクリュー式水絞り機を開発した。またシステムのポイントである溶融では、電磁誘導加熱方式による溶融装置(加熱炉)を採用した。この装置は外側から高周波によって加熱するだけに、密閉した形で加熱ができ、処理工程で有害物質を排出しない利点がある。ただアスベストの種類によっては融点が1600℃にもなり、炉を構成する坩堝を処理ごとに交換しなければならないが、素材によっては数百万円する。それだけに電気が流れると同時に高温に保てる坩堝の素材としてジルコニアセメント製の坩堝を装荷下することで克服、数千円オーダーですむようになった。溶融装置で処理されたアスベストは、急速水冷却され2から5mmの粒形のガラスとなり、無害化(粒形状のガラスにはアスベストのもつ針状の形状は完全に消失)される。

  アスベスト処理というと、現在は指定された産廃中間処理業者が許可を受けたところででしか処理できないことになっている。アスベスト廃材は、いたるところで発生するだけに、現行では発生したアスベストは指定されたところに運び、処理するか、溜めておくかしかできない。やはり解体現場で処理できれば安全であることはいうまでもない。同システムは10トントラック2台分程度で収まり、そのスペースがあれば処理作業ができる。科学技術の進歩に法律が着いていけないことはよくあることだが、解体現場でこうしたシステムが起動できるような法律の整備も急がれる。

  東工大原子炉研の有富正憲所長の話「東工大のある東京・大田区は、優れた技術をもった中小企業が沢山ある。そのような技術を残さなければというのが研究開発を始めたきっかけです。システムは完成したわけで、大学としては法整備や技術的なサポートをしていくことになります」

  ナベカヰの渡邊竜一代表取締役「アスベストの最も優れた無害化処理システムがようやく実用の段階に入ったといってもよいでしょう。アスベスト解体現場における作業員や周辺環境に十分配慮したシステムです」(科学、5月22日号1面)



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