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重い電子が作るフェルミ面、世界初直接観測に成功
その他】発信:2009/06/17(水) 11:00:37  

  日本原子力研究開発機構(原子力機構)、東北大学、東京大学、京都産業大学の研究グループは、異常に大きな見かけ上の質量を持つ”重い電子”が作るフェルミ面を世界で初めて直接観測することに成功した。

  重い電子とは、電気伝導を担う電子の中に動きにくい性質のものが現れる。その動きにくさによって電子の見かけ上の質量(有効質量)が通常の10から1000倍に重くなったように観測され、これを重い電子状態と呼ぶ。同グループが研究対象としたCeRu2Si2(セリウム・ルテニウム2・シリコン2)は典型的な重い電子系化合物で、ここ20年来盛んに調べられてきた。原子力機構量子ビーム応用研究部門の岡根哲夫研究副主幹によると
「重い電子状態を示すセリウム化合物では、セリウム原子が外殻に持つ4f電子が磁性や電気伝導の性質を決めるのに大きな役割を果たしていると考えられていますが、その役割を理解する上で重要なポイントが4f電子が結晶中で遍歴的であるか、局在的であるか、という点です」
という。4f電子が遍歴性を持って電気伝導に寄与している場合にはフェルミ面を形成することになり、4f電子が作るフェルミ面を実験的に観測し、化合物ごとの相違点を把握することが重要な課題とされてきた。

  そこで同グループでは、共鳴光電子放出という方法を角度分解光電子分光に応用することで、4f電子からのシグナルを選択的に強めることで、重い4f電子が作るフェルミ面を直接観測することができた。これは、放射光のエネルギー可変性を積極的に利用した実験で、大型放射光施設SPring‐8が生み出す高いエネルギー分解能の軟X線領域の放射光の利用により初めて可能になったとしている。特に、重い電子状態を持つセリウム化合物が、磁気秩序を持っていない状況下では、化学圧力による電子状態変化を加えた場合の4f電子が作るフェルミ面の変化が連続的であることを実験的に確認した。

  岡根研究副主幹の話「今後は、磁気秩序が発現した時に4f電子が作るフェルミ面がどのように変化するかを実験的に確かめることが次の目標になります。また、セリウム化合物のようなf電子系化合物では、磁気秩序が発現する境界付近で超伝導が発現する例が数多く見られています。そこで、磁気秩序が発現する境界付近でどのようなフェルミ面変化を示す場合に超伝導が発現するのかを明らかにすることで、f電子系化合物特有の”磁性と相性の良い超伝導”の機構解明につなげていきたいと考えています」(科学、6月5日号1面)



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