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新形式の有機LED作製、単純な構造で低コスト化
【IT】発信:2009/06/18(木) 11:11:17
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東京大学大学院理学系研究科の中村栄一教授、辻勇人准教授、JST・ERATO中村活性炭素クラスタープロジェクトの佐藤佳晴グループリーダーらの研究チームは、非晶質材料としては世界最高レベルの電荷移動度を持つ両極性材料・CZBDFを開発。その材料で構造が単純なホモ接合の有機ELを作り、青・緑・赤の三原色発光に成功した。5月25日にアドバンスト・マテリアルズ(オンライン版)に掲載された。
低消費電力、広い視野角、高速応答などの特徴を持つ有機EL(有機発光ダイオード)は、次世代の照明やディスプレイとして期待されている。
研究チームでは、2007年に高い正孔(正電荷)移動度を持つベンゾジフラン化合物(DPABDF)を開発。今回、そのベンゾジフランのアミン部位をカルバゾールに置換することで、正孔と電子(負電荷)、両方の電荷を流すことができる窒素と酸素を含む有機化合物・CZBDFを開発した。この材料は、正孔、電子ともに高い移動度で、バランス良く両電荷を輸送する両極性を持ち、輝度のギャップが広いことや、発光色素に効果的に電荷を閉じこめることができる。
ガラス基板の上に、陽極のITO(インジウムスズ酸化物)透明電極、150〜200nmの有機薄膜(CZBDF)、陰極にアルミニウム金属を真空蒸着法で順に形成していくことで作製した。このCZBDFは、p型ドーピングとして陽極から30nmは五酸化バナジウム(無機酸化剤)と共に蒸着させ、n型ドーピングとして陰極から20nmはセシウム金属(還元剤)と共に蒸着させている。
酸化剤・還元剤が添加されていない中心部(50〜100nm)では、青色・緑色蛍光色素、赤色リン光色素を各々添加することで三原色発光を実現した。中でも、緑色蛍光色素は、6万カンデラ/平方メートルの高輝度で、蛍光有機ELの理論限界である5%に迫る、外部量子効率4.2%を達成している。
現在の標準的な有機EL素子は、5〜6層の異なる材料からなる有機薄膜を積層したヘテロ接合構造を持つ。今回、電極の間の有機薄膜を単純な構造にしながらもフルカラー発光が可能となった。これは、従来の製造ラインを短縮できることから低コストかつ高効率な有機ELの製造につながると期待される。
研究チームでは今後、新材料の開発や材料同士の組み合わせ、構造の最適化などを検討していくという。有機ELと同様の多層構造を持つ有機薄膜太陽電池など、他の有機半導体素子におけるホモ接合の応用も期待される。(科学、6月5日号4面)
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