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産業革命以前のアジアの農耕地拡大でその後の降水量が大幅減少
その他】発信:2009/06/26(金) 13:47:17  

  人間活動による気候変化は、産業革命以降の温室効果ガス増加以前に、アジアでの農耕活動の拡大により、すでに起こっていた可能性が高い。海洋研究開発機構地球環境変動領域全球水文気候過程研究チームに高田久美子研究員らと、名古屋大学地球水循環研究センターの安成哲三・教授は、大気大循環モデルを用いた数値実験により、18世紀から19世紀にかけてインドや中国で森林面積が大幅に減少した結果、アジアモンスーンによる降水量が減少した可能性が高いことを世界で初めて明らかにした。PNASに掲載された。

  二酸化炭素などの温室効果ガスの増加による気候変化の予測とその影響評価・対策は、IPCCの主要テーマだが、日本を含むアジアの気候変化予測で最も重要かつ緊急な課題は、アジアモンスーンとその降水量がどう変化するかという問題だ。

  しかし、アジアモンスーン変動に関与する大気・海洋・陸面間のフィードバック過程に未解明の部分が多いことから、アジアモンスーンによる降水量の予測に関しては、確たる科学的根拠のある結果が得られているとはいえない状況だった。

  特に、モンスーン活動を規定する重要な要因の一つである陸面について、これまでは人間活動による土地利用状況・陸面状態の変化がアジアモンスーンに及ぼした影響は、限られた地域で限られた要素についての研究が行われていることが多く、実際の歴史的な地表面変化を特徴的に捉えた研究はほとんどされていない。

  そこで、1700年前後から1850年前後までの百数十年の間に、アジアモンスーン地域のインド・中国における大規模な森林からの農耕地への変化がアジアモンスーン気候に与えた影響を調べるために、大気大循環モデルを用いた数値実験を行った。

  大気大循環モデルを用いた数値実験では、1700年と1850年の農耕地を含む全球植生分布を与えて、各々1700年前後と1850年前後の平均的な気候を再現した。それらの実験結果を比較することで、耕地化の影響を調べた。

  その結果、森林面積が大幅に減少した1850年前後のモンスーン域の夏季降水量は、1700年前後の降水量に比べ、インド亜大陸西部で30%程度、中国南東部で十数%程度減少した可能性を明らかにした。また、森林から農耕地への変化に伴う地表面の反射率の増加と地表面の摩擦の減少によって、地表面からの蒸発散量と大気中での海洋域からの水蒸気輸送による水蒸気収束量が減少して、降水量の減少を引き起こした原因となったことも示した。

  1700年前後から1850年前後は、アジアモンスーン地域における系統的な降水量観測が開始される以前だが、最近行われたヒマラヤでの氷河の氷コア分析によって、インド亜大陸西部でのモンスーンによる降水量が1700年代から1850年代より多かったとした結果と矛盾しないものになっている。

  また、この時期はヨーロッパで本格的な産業革命が始まる前で、温室効果ガス増加や工業化に伴う広域大気汚染のグローバルな気候への影響はない時期であり、また太陽活動や火山活動など、地球規模の長期的な気候変化を引き起こす自然的要因も特に示されていないことから、今回の研究で示された農耕地拡大に伴うアジアモンスーンの気候変化が現実に起こった可能性は極めて高いという。

  アジアモンスーンは、温室効果ガス増加だけでなく、土地利用、植生改変によっても大きく変化することが明らかになったことで、IPCCの温暖化予測の中で特に不確定性が大きいアジアモンスーンの水循環、降水量予測の部分に新しい知見を提供することになる。今回の成果は、森林破壊や砂漠化、巨大都市化などの土地利用変化も、水資源を含む気候変化へ大きく影響する要素として考慮すべきだということを示したものだ。(科学、6月12日号4面)



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