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社会へ貢献を目指して、長期的な脳科学研究
バイオ】発信:2009/07/09(木) 15:02:36  

  科学技術・学術審議会(会長=野依良治・理事長)は6月23日、長期的展望に立つ脳科学研究の基本的構想及び推進方策について、塩谷立・文部科学大臣に答申した。総合的人間科学としての脳科学研究を推進するとともに、研究成果の疾患への適用など、社会に貢献する脳科学研究を新たな基軸として打ち出した。また、ロードマップで短期・中長期の具体的取り組み方策を示すなど、今後の脳科学研究の推進戦略を示している。

  脳は、人間が人間らしく生きるための根幹をなす「心」の基盤であり、その研究は、人文・社会科学と融合した新しい人間の科学を創出し、これまでの科学の枠組みを変える可能性を秘めている。また、現在の脳科学研究は、脳の発達障害・老化の制御や精神・神経疾患の病因解明及び予防・治療法の開発を可能にするとともに、失われた身体機能の回復・補完を可能とする技術開発等をもたらすことから、記憶・学習のメカニズムや脳の感受性期(臨界期)の解明等により、将来的には教育等における活用も期待されるなど、社会的意義も大変高い取り組みである。

  こうしたことから答申では、脳科学に携わる研究者に対して、脳の構造と機能についての知見を学問として究めるとともに、従来の専門分化型の枠組みに縛られることなく、異分野や関連諸領域との連携・融合を積極的に進めながら、人間の総合的理解を目指す「総合的人間科学」の構築を目指すべきという、1つの方向性を示している。また次世代の人材の育成においては、脳科学の特徴である学際性・融合性を十分に意識し、広い視点から研究の内容や方向性を整理・再構築する能力を涵養することが必要だとしている。

  脳科学研究の推進方策については、基礎研究、基盤技術開発、社会への貢献という3つの軸を示した。基本的なシステムの理解や新たな発見に重要な自由な発想による基礎研究を推進するとともに、異分野融合による新しい学問領域の創出を目指すよう強調。基盤技術開発としては、モデル動物開発、脳活動の可視化技術・制御技術、神経情報基盤の整備(ニューロインフォマティクス)を取り上げ、多様な支援を継続的かつ強力に推進推進していくことが必要だとしている。

  社会に貢献する脳科学の実現を目指した研究として重点的に推進すべき研究領域としては、脳と社会・教育、脳と心身の健康、脳と情報・産業の3つを設定した。

  「脳と社会・教育」では、豊かな社会の実現に貢献する脳科学を進める。当面の向けた取り組みとして、コミュニケーション等を含む人間の社会的行動が形成・制御される機序について、分子・細胞レベル、回路レベル、個体・システムレベルでの解明を目指した研究や、ゲノム情報に基づく行動遺伝学的研究、つまりニューロゲノミクス、コグニティブ・ゲノミクス等を進める。また、生物の進化の産物として、脳がどのように誕生したかという発生原理から、発生・発達に影響を与える遺伝子産物の機能を解明する研究や、ヒトの社会性の生物学的基盤としての、脳の生物学的指標(ソーシャル・ブレイン・マーカー)の確立に向けた研究、長期発達コホート研究を開始するための予備的研究としてのコホート研究の立ち上げ等を重点的に進める。

  「脳と心身の健康」では、健やかな人生を支える脳科学を推進。ストレスが心身症や生活習慣病を引き起こす脳内メカニズム、ストレスに関連するうつ病などの精神・神経疾患の発症に係る分子基盤や、生理的な睡眠・覚醒の生体リズムの維持、摂食・エネルギー代謝・血液循環の調節等に関与する脳の液性・神経性基盤を明らかにするとともに、健やかな脳の発達や維持に必要な栄養素を明らかにする研究等を重点的に進める。

  うつ病については、脳病態に基づいた疾患概念の再構築、客観的診断法、有効な治療法の開発に向けて、神経細胞の形態学的変化が病態に関与するとの仮説を死後脳研究により検証するとともに、心理社会的ストレス、虐待などの養育問題、生活リズム、遺伝要因、性格、エピジェネティクス要因、脳老化などの様々な要因の関与を検討する研究を組織的に立ち上げる。

  また、精神・神経疾患の病態に関する分子・細胞レベル、回路レベル、個体・システムレベルにおける基本的な機序を明らかにするとともに、情動・記憶や判断機能の回復メカニズムの解明、神経幹細胞の増殖・分化機能の理解による脳・脊髄損傷後の回復法の開発に向けた研究等を進める。

  「脳と情報・産業」では、脳科学が安全・安心・快適な情報社会の形成につながる研究を進める。脳内の情報処理に関与する分子・細胞レベル、回路レベル、行動レベルでの動作原理を解明し、異なる階層の実験データを関連づけるためのシミュレーションなどに基づく理論化、モデル化を進める。低侵襲・非侵襲による脳内活動の計測技術高度化を進める。また、運動機能再建、リハビリテーション治療や生活支援ロボットにつながるブレイン・マシン・インターフェース技術の開発に向けた研究等を重点的に進める。

  文部科学省では、今回の答申を来年度予算要求に反映し、関連研究を加速していく。(科学、6月26日号1面)



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