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アルコール性急性膵炎の治療ターゲットを発見
バイオ】発信:2009/07/16(木) 16:18:51  

  理化学研究所・脳科学総合研究センターの御子柴克彦チームリーダーと英国リバプール大学のジュリア・ゲラシメンコ博士らは共同で、アルコール性急性膵臓炎の発症初期に、「イノシトール三リン酸受容体(IP3レセプター)」が関わっていることを発見した。膵炎発症の契機となる細胞内のカルシウム濃度上昇が、細胞内の特異的なカルシウム貯蔵庫から同レセプターを介して起きていることが明らかになった。特効薬の開発につながると期待される。成果は米国科学アカデミー紀要「PNAS」オンライン版に6月15日掲載された。

  急性膵炎はアルコール依存症患者に多く見られ、アルコールの多量接種が主な原因と考えられている。これまでアルコール依存症患者の膵臓には、アルコールと脂質の合成化合物FAEE(脂肪酸エチルエステル)が高濃度で検出されること、低酸素状態の膵臓で合成されるFAEEがカルシウムを異常放出し細胞死を引き起こすことなどがわかっていた。一方でFAEEがどのようにカルシウムの異常放出を引き起こすかはわかっていなかった。

  研究グループは、まず細胞内のカルシウム挙動に着目し、2光子レーザーによる細胞膜の透過技術とカルシウム指示薬を用いて、細胞内のカルシウム貯蔵を担う小胞体などの小器官(カルシウム貯蔵庫)からのカルシウム放出に、FAEEが与える影響を調べた。その結果、アルコール毒性が表れた患者の血中に存在する濃度(10〜100μM)の「パルミトレイン酸エチルエステル(POAEE:FAEEの一種)」の添加で、粒状領域に存在する酸性のカルシウム貯蔵庫からカルシウムが放出される事がわかった。

  次に、酵素活性のリアルタイム観測により、POAEE濃度10〜100μMの添加でトリプシンが粒状領域において活性化されることを明らかにした。また、IP3レセプターはカルシウム貯蔵庫からカルシウムを放出するが、この阻害剤やヘパリンがトリプシン活性化を抑制することを明らかにした。

  さらにこのレセプターの、どのタイプがPOAEE依存的なカルシウム放出とトリプシン活性化を担うかを確かめるためノックアウトマウスを作製。2型IP3レセプターを欠損、2型と3型IP3レセプターを共に欠損させた2種類のマウスを、野生型マウスと比較した。

  その結果、2型を欠損したマウスはPOAEEによる酸性のカルシウム貯蔵庫からのカルシウム放出とトリプシン活性が減少。2型と3型両方を欠損させたマウスはさらに強く減少していた。2型と3型のIP3を特異的に不活性化できる化合物を開発できれば、急性膵炎の治療に役立つと期待される。(科学、6月26日4面)



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