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半導体量子メモリーで世界最長量子情報保持時間達成
IT】発信:2009/07/17(金) 14:27:47  

  国立情報学研究所(NII)の山本喜久教授らの研究グループは、電子スピンで世界最長の量子情報保持時間を達成した。量子情報通信には量子中継が欠かせない。それに必要な半導体メモリー(電子スピン)で、量子情報を保持できるコヒーレンス(可干渉)時間が従来の7000倍となった。フィジカル・レビュー・レターズの6月26日号に掲載された。

  量子力学に基づく量子暗号通信は盗聴不可能とされているが、現在のところ最大でも200km程度しか伝送できない。より長距離の通信網を構築するには量子中継システムが不可欠だ。それには長いコヒーレンス時間を持ち、量子情報を保つ量子メモリーが必要となる。NIIでは、量子メモリーとして十分な性能を持つ半導体原子核スピンとして、シリコン結晶中に4.7%程度含まれる29Si同位体が、室温でも1秒から30秒というコヒーレンス時間を持つことを確認している。

  しかし、29Siの原子核スピンは光と直接結合しないことから、光ファイバー通信網とのインタフェースをどうするかが問題になっていた。メモリーと光信号との量子情報の転写は、29Siの原子核スピンがトラップした電子スピンを介して行われる。この転写には、電子スピンのコヒーレンス時間が少なくとも1マイクロ秒よりも長いことが必要とされるが、現状では3桁も短い。

  研究グループでは、半導体を組成するガリウムヒ素(GaAs)結晶内の磁場ゆらぎがコヒーレンス時間を制限してしまうことを突きとめ、光パルススピンエコーという新たな手法を用いて、電子スピンのコヒーレンス時間を7000倍延ばして7マイクロ秒を実現した。光パルススピンエコーを用いると、2つの光パルスの間に第3の光パルスを挿入するため、各パルス間でスピンに作用する磁場ゆらぎを相殺して、デコヒーレンス(干渉の喪失)の要因を取り除くことができる。また、光パルスを用いた電子スピンの1ビット制御に必要な時間は、10ピコ秒であることから、コヒーレンス時間内に約7×10の5乗回も量子ビット演算が可能となる。

  今回、量子メモリーとして十分なコヒーレンス時間とゲート操作時間を持つことが実証されたことになり、量子中継システムの実現がまた1歩近づいた。(科学、7月10日号4面)



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